スマホが原因の手のしびれや痛みへの対処法とは
手根管症候群(CTS)は、手首にある「手根管」というトンネルの中で正中神経が圧迫されて起こる病気です。特に現代社会ではスマートフォンやパソコンの使用が増えたため、若い人から高齢者まで幅広い世代に影響を与えています。手のしびれや痛みを放置すると、日常生活に支障をきたす可能性があるため、早期の対処が重要です。この神経は親指から薬指までの感覚を担当しているため、圧迫されると指のしびれや痛みが出ます。
最近はスマートフォンやパソコンの使用が増えているため、若い世代でも手根管症候群になる人が増えています。2025年3月19日にNHKの「きょうの健康」で、この問題について京都大学医学部附属病院の池口良輔氏が詳しく解説しました。その内容をわかりやすくまとめます。
手根管症候群とは?
手根管症候群は、手首にある「手根管」の中で正中神経が圧迫されることで起こります。正中神経がダメージを受けると、以下のような症状が出ます。
- 親指、人差し指、中指、薬指のしびれや痛み
- 夜や朝方にしびれがひどくなる
- 親指の付け根の筋肉が弱くなり、細かい作業がしにくくなる
- 握力が弱くなり、物を持つことが困難になる
- しびれが悪化すると、感覚が麻痺してしまう可能性がある
症状が悪化すると、指の感覚が鈍くなったり、力が入りにくくなったりします。早めに対処することが大切です。特に夜間や明け方に症状が強く出ることが多く、放置すると日常生活に大きな支障をきたします。
手根管症候群の原因
「きょうの健康」では、手根管症候群の原因について詳しく説明されました。特にスマートフォンやパソコンの長時間使用が原因になることが報告されています。
池口良輔氏によると、以下のようなことが原因となります。
- 加齢:年齢とともに手根管の中が狭くなる
- ホルモンバランスの変化:特に閉経後の女性に多い
- 手の使いすぎ:スマホやパソコン、細かい作業の繰り返し
- 病気:糖尿病やリウマチ、透析患者など
- けが:手首の骨折や脱臼
- 遺伝的な要因:家族に同じ症状を持つ人がいる場合、発症しやすいことがある
- 妊娠中のむくみ:妊娠中に手首に負担がかかり、正中神経が圧迫されやすくなる
近年の調査によると、スマートフォンやパソコンの1日4時間以上の使用が手根管症候群のリスクを2倍以上に高めると報告されています。特に、長時間のスマホ操作やキーボード入力を繰り返すことで、正中神経への負担が増します。

手根管症候群の診断方法
池口氏は、手根管症候群の診断にはいくつかの方法があると説明しています。
- 問診:症状の出方や生活習慣について確認する
- チネル徴候:手首を軽くたたいてしびれが起こるか確認
- ファーレンテスト:手首を曲げて手のひらを合わせてしびれを確認
- 神経伝導検査:電気を流して神経の働きを確認
- MRIや超音波検査:神経がどのように圧迫されているかを確認
- エコー検査:正中神経の厚みや圧迫状態を詳細に観察する
早めに診断して対処することが大切です。特に症状が進行している場合には、正確な診断が重要になります。
手根管症候群の治療法
「きょうの健康」では、手根管症候群の治療法についても詳しく説明されました。
保存療法
- 安静にして手を休ませる
- サポーターで手首を固定する
- 痛み止めや炎症を抑える薬を使用する
- ステロイド注射で炎症を抑える
- リハビリで手首や指のストレッチや筋トレを行う
- 超音波療法や温熱療法を併用して血行を改善する
手術
- 圧迫している靭帯を切る手術(開放手術)
- 内視鏡を使った負担の少ない手術(回復が早い)
- 神経を保護するための再生治療や縫合手術
手術の成功率は90%以上とされており、多くの場合で症状の改善が期待できます。

手根管症候群のセルフケアと予防法
- 手首のストレッチ:手首を反らせたり曲げたりしてストレッチをする
- 指の運動:親指と他の指で円を作る運動をする
- 生活習慣の改善:スマホやパソコンの使用時間を減らす
- 姿勢の改善:手首に負担がかからない姿勢を心がける
- エルゴノミクスグッズの活用:手首を支えるクッションやマウスパッドを使用する
まとめ
「きょうの健康」では、手根管症候群について池口良輔氏がわかりやすく解説しました。池口氏が紹介した診断法や治療法、セルフケアは、手根管症候群に悩む人にとって非常に役立つ情報です。しびれや痛みを感じた場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。
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